綺麗な織物を織ろう!と考えると、かなり細かいところまで気になってきますよね。
そんな細かーいこだわりポイントのひとつに、緯糸の糸端の処理の仕方があります。
この糸、一度切ってしまうべき?それとも絡めていって、次に入れる段まで持っていった方が綺麗?
そう悩んだ時の、判断の目安をご紹介いたします。
と合わせて見ていただきことで、より綺麗に仕上がるコツがわかります。
緯糸を切る?絡める?判断の目安
2種類以上の緯糸を使って織る場合、耳の部分で緯糸が縦方向に渡ってしまわないよう、緯糸同士を絡ませながら織る必要が出てくる場面が多くあります。
「必要がある」と書くとあまり良くない事のように思えますが、緯糸同士を絡ませる事のメリットもあります。
例えば、緯糸同士を1段ごとに毎度絡められるように計画して織ることで、
綺麗に織物を織るコツ①-織地の「耳」を考える- でご説明したような特別な工夫をせずとも組織を壊さず耳の部分まで綺麗に織ることもできます。
しかし、こういったメリットがあるとはいえ、無理に毎度絡ませようとすると仕上がった時の見栄えが良くありません。
必要に応じて、絡ませるのが良いか切った方が良いのか判断をする必要があります。
判断基準としては、
・緯糸デザイン
・緯糸の種類
・経糸デザインとの兼ね合い
以上の3つが挙げられます。
まず、緯糸デザインについては、緯糸が切り替わる頻度が関係してきます。
例えば「A・Bそれぞれ2段交互」や「Aで4段織ったらBで1段の繰り返し」のように、頻繁に緯糸が切り替わるデザインの場合は、緯糸を絡ませながら織った方が良いでしょう。
糸が変わるたびに糸を切って切り替えるのは手間ですし、糸端の処理が重なって耳の部分だけ緯の密度が変わってしまいますので避けた方が無難でしょう。
逆に緯糸の切り替わる頻度が少ないデザインの場合は、毎回糸を切ってしまった方が糸の無駄も少なく、また耳がすっきりと仕上がります。
「A・Bそれぞれ15cm交互」のような場合はA・Bそれぞれ毎回切る方が良く、
「A10cmごとにBを5段織る」のような場合はAはBを織る際に絡め、Bは出番が終わったら切るのが良いでしょう。
また、「A・Bそれぞれ5cm交互」のように絡めるべきか切るべきか迷うデザインの場合は、後述する緯糸の種類や経糸デザインとの兼ね合いを考えて判断するのがいいでしょう。
次に緯糸の種類ですが、糸の素材と形状が影響してきます。
素材については、ウールなどの仕上げ後に糸同士がしっかりと絡む素材なら、緯糸を変えるタイミングで切って切り替えることができます。
しかし、絹などの絡まりにくく、仕上げ後でもふとした拍子にするっと抜けてしまうような糸の場合は、次に同じ糸を入れる段まで耳の部分で絡ませ続けた方が安定して、仕上がりも綺麗になります。
また、ファンシーヤーンの場合も、切ると糸がほぐれてしまって安定が悪くなりやすいので、できるだけ絡めながら織っていくのが良いでしょう。
さて最後に経糸デザインとの兼ね合いです。
上の図のようなデザインの織り物を、A・Bで2色はっきりと分かれたウールのストレートな糸を経緯の両方に使い、かつ緯糸のデザインは「A・Bそれぞれ5cm交互」として織るとします。
その場合、経糸デザインによって緯糸を絡めるか切るかの判断が変わります。
糸Aをどうするかを例に見ていきましょう。
図の経糸デザイン①の場合、織り物の耳になるのはBの経糸が通った部分です。
この時、Bを緯糸で織るときにAを絡ませていくと、両端の経緯どちらもBの色で織れているはずの部分に、絡ませているAの緯糸の色がちらちらと見えてしまい、せっかくのすっきりとしたデザインを邪魔してしまいます。
その為、経糸デザイン①のような場合はAの糸は出番が終わったら毎度切る方が綺麗に仕上がります。
経糸デザイン②の場合、織り物の耳になるのはAの経糸が通った部分です。
この時は、Bを緯糸に織るときにAを絡ませても、経糸のAに紛れてくれて悪目立ちせずに済みます。
5cm程度なら絡ませても糸の無駄が気になるほどではありませんし、絡めて織る方が手間もかからず良いでしょう。
Aを例に考えましたが、Bでも同じです。
糸Bの場合は経糸デザイン①なら耳の経糸に紛れるから絡め、経糸デザイン②だと耳の経糸に対して悪目立ちしてしまうので、出番が終わるたびに切って仕上げます。
もしAとBの色が似通ったものであればどちらもお互いに絡めて織っても良いでしょうし、耳の部分の経糸のデザインがA・B1本交互などであればどちらの色も紛れるでしょうから、これもまた絡めながら織って大丈夫でしょう。
このように、緯糸を絡ませるべきか切るべきかの判断は何かと複雑になっています。
上のチャートに沿って判断すればおおよその場合問題ありませんが、緯糸の太さや緯密度、糸の性質によっては例外的な判断をする必要も出てきます。
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