手織りを始めてみたけれど、知りたいことをなんという言葉で調べればいいのかわからない!
独学でずっと機織りをしてきたけれど......そういえばこの道具はなんて名前なんだろう?
そんな方に向けて、手織りにまつわるいろいろな言葉をご紹介します。
織り機の部品を表す言葉
男巻き/千巻き・・・
男巻きは「おまき」千巻きは「ちまき」と読みます。
経糸のテンションを調整するために歯車がついている部品です。
奥側のこれから織る経糸を送り出していく方が男巻き、
織り手前側、織れた布地を巻き込んでいく方が千巻きです。
綜絖/綜絖枠・・・
綜絖は「そうこう」と読みます。
経糸を開口させ、緯糸が通る場所を作るために使います。
綜絖の中央にはスリットが空いており、そこに経糸を通すことで経糸の動きを決めます。
綿・ポリエステル・金属製のものがあり、綜絖枠にセットして使います。
綜絖を数える際の単位は本、綜絖枠を数える際の単位は枚を使い、織る組織によって必要となる綜絖枠の枚数は変わります。
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踏み木・・・
足で踏み、綜絖枠を上下に動かすための部品です。
卓上織り機の場合は踏み木ではなく、レバーを手で動かして綜絖枠を上下させます。
踏み木を数える際の単位は本を使います。
1:1タイアップの織り機の場合綜絖枠1枚につき1本の踏み木を使用し、複数タイアップの織り機の場合、1本の踏み木で複数の綜絖枠を動かすことができます。
織る組織によって必要となる踏み木の本数は変わります。
筬/筬かまち・・・
筬は「おさ」と読みます。
経糸の密度を決め、また緯糸を真っ直ぐ打ち込むための部品です。
筬には「筬羽」と呼ばれる仕切りがあり、その密度の違いにより織れる布地の経密度が変わります。
筬の密度は10cmに経糸が何本入るかで表され、例として10cmに50本入るものは「50羽の筬」もしくは「センチ5の筬」と呼びます。
筬は筬かまちと呼ばれる部分にセットして使い、筬かまちの支点が織り機上部にあるものを上吊り式、織り機下部にあるものを下吊り式と呼びます。
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手織りの道具の名前
機料品・・・
「きりょうひん」と読みます。
手織りの道具を総称して機料品と言います。
杼は「ひ」と読みます。
杼本体もしくは「管」と呼ばれるものに緯糸をあらかじめ巻いておき、緯糸を入れるために使います。
板杼・ラグシャトル・すくい杼・ローラーシャトルなど様々な種類があり、糸の質や織る物に合わせて使い分けます。
板杼やラグシャトルなど、杼本体に緯糸を巻き付けておくタイプのものは、織巾と同じか2/3程度の長さのものを選ぶと織りやすいです。
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かせくり器に綛糸をセットし、玉巻器で糸を玉に巻くために2つをセットにして使う道具のことです。
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綜絖通しは綜絖に、筬通しは筬に経糸を通すための道具です。
金属製のものが主流ですが、より安価なプラスチック製のものもございます。
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整経台・・・
整経をするための道具です。
一定間隔ごとにピンが立てられており、それに糸をかけて必要な長さの経糸を準備します。
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手織りの作業工程を表す言葉
整経・・・
経糸を必要な本数、必要な長さ分引き揃えておく作業の事です。
整経台などの専用の道具を使って作業し、必要な長さで往復するようにして行われます。
綜絖に経糸を通す際に糸の順番がバラバラにならないよう、途中で「綾」と呼ばれる、糸が1本ずつ交差した部分を作ります。
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粗筬がけ・・・
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機かけ・・・
整経して粗筬にセットした経糸を男巻きに巻き込み、綜絖・筬に通して千巻きにつながる棒に結びつけるまでの、織り始める前に必要な一連の作業の事です。
タイアップ・・・
綜絖枠が踏み木に連動して動くように、二つの間を結ぶ作業の事です。
捨て糸・・・
織りはじめに、経糸の密度を均等にするために作品に使う糸よりやや太めの糸を緯糸にして数リピート織っておく事です。
「捨て糸を入れる」などと表現されます。
この工程を省くと、織り始めが不揃いになってしまいます。
織地の仕組みを表す言葉
経糸・・・
「たていと」と読みます。
織地の縦方向、上下に走る糸の事です。
緯糸・・・
「よこいと」と読みます。
織地の横方向、左右に走る糸の事です。
組織・・・
経糸・緯糸がどのように交差しているかによって決まる、織地の構成の事です。
平織組織・綾織組織などの使い方をします。
組織図・・・
組織を白黒の方眼紙に表したものです。
経糸と緯糸の交差点を正方形のマス目で表します。
経糸が表に見えている部分は黒、緯糸が表に見えている部分は白で示します。
例えば平織の場合、白黒交互の市松模様で表されます。
完全組織・・・
組織を構成する最小単位をのことです。
完全組織がリピートすることで織地になります。
例えば平織の場合、経2マス×横2マスの市松模様が完全組織となります。
綜絖通し図・・・
どのような順番でどの綜絖に経糸を通していくのかを図に表した物です。
同じ組織を織る場合には、複数タイアップと1:1タイアップで同じ図が使えます。
タイアップ図・・・
どの綜絖枠をどの踏み木/レバーにつなげるのかを図に表した物です。
同じ組織を織る場合にも、複数タイアップと1:1タイアップではそれぞれ別の図が必要になります。
足踏み図(レバー操作図)・・・
どのような順番でどの踏み木/レバーを動かすと織れるかを図に表したものです。
同じ組織を織る場合にも、複数タイアップと1:1タイアップではそれぞれ別の図が必要になります。
織り方図・・・
綜絖通し図・タイアップ図・足踏み図(レバー操作図)の3種全てを揃えたものの事です。
手織り糸に関する言葉
綛
「かせ」と読みます。
糸端をすぐに取り出せる状態で糸を輪に巻いたものを表します。
「糸綛」「綛糸」と呼ばれることや、ひらがな・カタカナ表記されることも多々あります。
糸が絡まないように「ひびろ」と呼ばれる別糸で2~3箇所緩く縛られている他には、糸に余分な負担がかかったり引っ張ったりするものがないので、糸の損耗が起こりにくいです。
また、糸を染める場合も綛の状態で染液にひたすことで均等に染め上げることができます。
保管する場合、綛ぐり(綛を捻ってまとめておくこと)をして保管する場合が多いです。
単糸
「たんし」と読みます。
一方方向に撚っただけで、撚り合わされていない糸の事です。
双糸
「そうし」と読みます。
単糸を2本撚り合わせた糸の事です。
手織りの経糸には通常、双糸もしくはそれ以上の本数を撚り合わせられた糸を使います。
番手
「ばんて」と読みます。
糸の太さを表す言葉です。
多くの場合「x/y番手」などの分数の形で表されます。
番手は糸の太さを重さあたりの長さで示す方法で、ウール番手・綿番手など糸の素材により表記方法が異なります。
紡毛
「ぼうもう」と読みます。「紡毛糸」と書く場合もあります。
比較的短い羊毛(その他の獣毛も含む)の繊維を、向きを揃えずに紡いで出来た糸の事です。
丈夫で毛玉ができにくいため、マットやタペストリーなどのインテリアや、コートなどの丈夫なアウターの服地を織るのに向いています。
梳毛
「そもう」と読みます。「梳毛糸」と書く場合もあります。
比較的長い羊毛(その他の獣毛も含む)の繊維を、向きを揃えて紡いで出来た糸の事です。
肌触りが良くしなやかなため、ショールや肌に触れる服地などを織るのに向いています。
絹紡糸
「けんぼうし」と読みます。
絹糸の一種で、さまざまな理由で短くなった絹繊維を紡いで出来た糸の事です。
繭からそのまま引いて作られた絹糸に比べて光沢や滑らかさは抑えられますがその分扱いやすく、手織り初心者にも向いています。
生成糸
「きなりいと」と読みます。「生成り糸」と送り仮名が置かれる場合もあります。
染まっていず、漂白もされていない糸の事です。
色は素材の色に準じますので、いわゆる白色とは限りません。
晒糸
「さらしいと」と読みます。「晒し糸」と送り仮名が置かれる場合もあります。
漂白された、真っ白な糸の事です。
段染糸
「だんぞめいと」と読みます。「段染め糸」と送り仮名が置かれる場合もあります。
綛の状態で複数のブロックに染め分けられた糸の事です。
狭義では色と色の間に色にじみが無く、はっきりと染め分けられたもの、
意匠糸(ファンシーヤーン)
「いしょうし」と読みます。
糸が途中で輪を作っているもの(ループヤーン)、節のあるもの(ネップヤーン)、素材や色の異なる糸を合わせた双糸(モク撚)、撚りの強さが異なる糸を合わせた双糸(壁撚)などなど、紡績や撚糸の過程で細工を施した糸の総称です。
いかがでしょうか?初めて知ったという言葉もございましたでしょうか?
手織りには独特の言葉や言い回しが多くありますが、ここに挙げたものを知っていれば自分で調べるのも簡単になります。
しかしながら組織や組織図に関して申し上げますと、独学で学んでいくと理解するのに時間がかかってしまったり、間違えて理解してしまい、つまづく方もいらっしゃいます。
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